IT社会と言われる今日、ITスキル、ITリテラシーの有無は職業選択に大いに関わります。それゆえに、多くの大学生、転職希望者がITスキルを身に付けるためにスクールに通ったり、独学で学んだりしています。
本記事では、IT人材が必要とされる背景を踏まえた上で、求められるIT人材になるために必要なスキル・資格についても解説していきます。
IT人材の必要性
就職難と言われる現代においても、IT人材不足が深刻な問題になっています。2018年に経済産業省が発表したレポートでは、2025年にはIT人材が約43万人不足すると試算されています。
IT人材が数少ないために、企業が求めているITスキルを持つ人材を見つけることが難しく、採用できたとしてもすぐに離職してしまうケースもあります。
こうした社会風潮を受けて、大学生や転職を考える方の中にもITスキルを身に付けようと学習に励んでいる方が多くなっています。小学校でのプログラミングの必須化や、高校でのプログラミングを含む情報科目の必修化の背景にも、社会におけるIT人材のニーズの高さが影響していると言えるでしょう。
参考:2018年 経済産業省「DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~」https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf
ITスキル標準(ITSS)とは
IT人材の確保が課題になっていることから、2002年に経済産業省によってITスキル標準(IT Skill Standard:ITSS)が策定されました。
ITSSとは、ITスキルを客観的に測る指標のことです。ITスキル標準はIT関連能力やITの実務能力を指すものであり、採用、ならびに人材育成にも役立てられます。
ITSSが定義する専門職種は、以下の11種類になります。
・マーケティング
・セールス
・コンサルタント
・ITアーキテクト
・プロジェクトマネジメント
・ITスペシャリスト
・アプリケーションスペシャリスト
・ソフトウェアデベロップメント
・カスタマサービス
・ITサービスマネジメント
・エデュケーション
また、職種ごとに全部で38の専門分野があり、7段階のスキルとレベルが設定されています。
IT人材に必要なスキル
IT人材に必要なスキルは、IT関連の技術力・専門知識だけでは不十分です。数年前までは、IT人材は性格に多少のクセがあったとしてもIT技術力・専門知識に秀でていれば、企業で重宝されていました。
しかし、現在においてはIT技術者にはIT関連の技術力・専門知識のみならず、ヒューマンスキルや語学力もあわせて求められています。IT人材として長く活躍したい方、IT技術者として高い評価を得たい方は、IT関連の技術・知識の取得に励むのみならず、様々なスキルを身に付ける必要があるのです。
以下、令和において求められるIT技術者に必要なスキルを見ていきましょう。
コミュニケーション力
数年前までは、IT技術者は「技術者」であり、コミュニケーション力は求められていませんでした。コミュニケーション能力が劣っていたり、社交性に欠けたりしていても、これらの欠点を認めた上で採用され、社内でも重宝されていました。
現在では、IT人材にはIT技術のみならず、ヒューマンスキルが求められるようになりました。IT技術者は、技術者として作業を行うだけでなく、コミュニケーションを通してお客様のニーズを引き出すことが求められるようになったからです。
プレゼン力
IT技術者にはクライアントや営業先でプレゼンを行う機会もあります。自身で開発した製品、及び自社製品について説明、ないし導入することで得られるメリットについて話す機会も多いです。
プレゼンの出来不出来は契約を獲得するために重要です。明快簡潔な内容のプレゼンで、かつプレゼンターの表情や話し方が好感の得られるものであれば、聞き手は契約を結ぶことに前向きになります。
IT技術職は人手不足が深刻ですが、同業他社での競争は製品・サービスによっては激しいものもあります。多くの選択肢を持つ受注側に自社の製品を売り込むためには、プレゼン力が必須なのです。
英語力
現在、IT技術者に英語力が必ずしも求められているわけではありません。しかし、国際社会と言われ、日本よりもIT技術が先進している国も多い今日において、他国とのコミュニケーションは不可欠になりつつあります。
海外と取り引きを行っている企業に勤めたいと思った場合や、IT関連の先進的技術を身に付けたい場合は、英語力は不可欠です。
IT系の国家資格
未資格・未経験でもIT業界へ就職することは可能です。しかし、IT系の国家資格を保有していると、企業側から採用されるチャンスが大幅に増えるでしょう。
また、IT関連の仕事を行うにあたり、国家資格を保有していることが仕事で役に立つ場面も少なくありません。そこでここからは、IT系の資格の中でもおすすめの国家試験を紹介していきます。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験とは、IT人材としての基礎をおさえていることを証明する国家試験です。
IT系の試験の中でも知名度が高いので、合格するとIT業界に就職しやすくなると言えます。新入社員全員に基本情報技術者試験を受けさせる企業もあるので、IT業界に興味のある方は学生の内に資格を取得しておくと良いでしょう。
基本情報技術者試験の合格率は25%程度ですので、決して易しい試験とは言えません。合格するためには、ITの基礎知識だけではなく、マネジメントの知識や論理的思考力も求められます。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、情報処理技術者試験の中でも最難関の試験。この試験の合格率は、14~15%と言われています。
ITストラテジストは難易度の高い試験なので、合格すれば企業において重宝されるでしょう。資格を取得すると高度なITスキルを持つことの証明になり、企業から実務経験が5年以上あることと同等の価値があると見なされます。
ITストラテジストとは、IT関連のコンサルタント的な仕事です。ITストラテジストの仕事は依頼を受けた企業が抱える問題を洗い出し、解決策の提案を行います。ITストラテジストは提案をするだけでなく、IT技術者として企業が抱える課題の解決にも実際に携わります。
ITストラテジストとしての働き方は、情報部門の課長などといった管理職として企業で働くことが一般的。業務はチームで行うことも多いため、リーダーシップ、マネジメントスキルなども必要です。
まとめ
現在、日本は就職難と言われています。大学を卒業しても就職できない若者、再雇用先が見つからない中高年が問題となっています。
こうした時代においてもIT業界は深刻な人材不足を抱えており、採用の門を大きく開いています。IT業界への就職を考えている学生の方、異業界からIT業界への転職を目指す方はIT関連の資格を取得されることをおすすめします。
IT業界は急成長中の業界ですので、自分のスキル、努力しだいで収入アップも期待できます。