海外のIoT事情!日本は遅れている?世界のIoTに対する取り組みや事例を紹介
- 2022/1/21
- コラム
IoTは世界中で注目されており、IoTを搭載した製品は各国で開発されています。新しい製品は世の中に日々流通しており、私たちの暮らしはより便利になると期待されています。
日本でもIoTは注目されており、様々な業界や多くの家庭の中でIoTは大きく貢献しています。しかし、日本におけるIoT市場について、海外と比較して遅れを取っているという指摘があることも事実です。
そこで、本記事では、IoTについて分かりやすく解説した上で、世界における日本のIoT事情について解説していきます。また、各国のIoTの実例についても紹介していきます。
IoTとは
IoTとは「アイオーティー」と読み、「Internet of Things」の頭文字を取った言葉です。日本語では「モノのインターネット」と訳されています。
IoTとはモノにテクノロジーを搭載することで、モノの状態を離れた場所から把握できるようにすることです。また、モノ同士でデータができるようになります。モノから収集されたデータをビッグデータとしても管理することができ、AIによって高度な分析もできます。
世界のIoTの取り組み
IoTが経済や、産業に与える影響は大きく、多くの国々がIoTに注目しています。日本でIoTという言葉を耳にするようになったのは2017年頃ですが、この概念は1990年頃からすでに議論されていました。IoT先進国である中国は、2011年頃からIoTを「物聯網」と呼び、注目していました。
日本においても製造業でIoTが大きく貢献していますが、世界的に見てもIoTは製造業の在り方を変えています。例えば、ヨーロッパでも各国の産業に適した産業のデジタル化が急速に進んでいます。ドイツで行われている製造業分野での生産性、及び顧客ニーズ対応力アップを目指したインダストリー4.0は特によく知られています。
海外のIoT実例
前述した通り、世界各国でIoTの取組みが行われています。
ここでは、IoT先進国ともいわれるアメリカ、ドイツ、中国におけるIoTの実例を紹介していきます。
アメリカ
アメリカでは2013年頃からIoTが注目されはじめました。この年、CPSは経済発展を目的としたSmart America Challengeというホワイトハウス直下のプロジェクトを開始。CPSとはサイバーフィジカルシステムの略称であり、IoTと同意語として利用されています。
アメリカにおけるIoTの実例は以下の通りです。
・ディズニーワールド
米ウォルト・ディズニーは入場券の代わりに利用できるウェアラブル端末Magic Bandを開発しました。ホテルの鍵、電子マネー機能も備わっているため、園内ではMagic Band1つで楽しめます。
ゲストがMagic Bandを装着することで、ディズニー側はアトラクションの混雑状況を把握でき、データを基にして施設、サービスの改善策を企てることができます。
・駐車場の空き情報
Streetlineが開発したアプリでは、駐車場の空き情報についてスマホを使えばリアルタイムで確認できます。これにより、空きのある駐車場を探しまわらなければならないという問題が大きく改善されました。
アプリによる空き情報の確認は、各駐車場のデータがインターネットにリアルタイムで接続することで可能になりました。
ドイツ
ドイツは官民連携で行なっているインダストリー4.0戦略によって、第4次産業革命を目指しています。第4次産業革命とは製造業におけるIoT化などによって産業機械、及び設備をネットワーク化することをいいます。ドイツの産業はIoTによって急速に成長している最中です。
ドイツにおけるIoTの実例は以下の通りです。
・マインドスフィア
ドイツにおいてIoTが搭載されたシステムとして、マインドスフィアは有名です。マインドスフィアはIoTのプラットフォームとして開発されました。
工場内の機械に装着されたセンサーによって得た温度、振動などの情報を蓄積し、その後で分析を行います。このシステムにより、工場の稼働状況をデジタルデータで管理できるようになりました。
マインドスフィアは部品の在庫管理、機械の故障時期の予測、業務改善の提案にも貢献しています。
・アーム型ロボット
ドイツの産業用ロボットメーカーKUKAは人間の腕を模したアームロボットを開発しています。KUKAによるアーム型ロボットの特徴は、細かな作業を得意とすることや、自動でネジ締めを行えるところにあります。
アーム型ロボットには強度、位置を計算する機能が搭載されています。また、人間が近付くと、センサーが作動して作業がストップする機能も付いています。
中国
前述した通り、中国は世界に先駆けてIoTに注目しています。この国ではIoTを2011年から重点産業分野として定義し、IoTを活用した社会における近代化を目標としています。
中国におけるIoTの実例は以下の通りです。
・IoTマンホール
中国の発展は凄まじく、世界各国が中国の技術や経済力に注目しています。しかし、農村部ではテクノロジーとは程遠く、昔ながらの牧歌的な風景が広がっています。
中国の農村部では井戸が大きな問題となっています。人が井戸に落ちてしまう事故をなくすことが課題となっているのです。
中国はIoTマンホールを開発し、井戸の中に何かが転落した場合、管理システムへ通報されるシステムをマンホールに搭載しました。
・スマートパーキング
2017年頃から、上海ではスマートパーキングが普及しています。スマートパーキングでは、各駐車スペースの路面に1つずつ地磁気センサーが埋め込まれています。駐車されているかを地磁気センサーによって検知し、センサーに搭載されているNB-IoTモジュールでその情報をセンターに送信する仕組みです。
スマートパーキングによって、料金未回収のリスクが大きく軽減しました。料金の支払いはWeChat Payを利用すれば、スマホのボタン一つで完了します。料金の支払いを怠ると、カーナンバーなどからユーザーの与信情報を掴み、支払いを強制できます。
日本のIoT事情
日本経済研究センターによる2019年の発表では、国内におけるIoT導入済みの企業は全体の約15%でした。「検討している」と回答した企業は21.8%。そして「導入意向なし」という回答については61.7%でした。
企業がIoTの導入に無関心である最大の理由は、導入後のビジネスモデルが不透明なところにあります。また、IoTを使いこなす人材の不足を訴える企業も多くありました。
しかし、日本企業におけるIoTの導入実績を企業の規模別に見ると、大企業では30.9%と高い割合でした。一方、中小企業では15.7%と低く、企業間での格差が大きく開いているといえます。
まとめ
先進国を中心に、世界のあらゆる所でIoTが導入されています。IoTによって、労働者の負担が軽減されるだけでなく、多くの人たちの日常生活もより便利なものとなります。
日本は世界的に見てIoTの遅れが指摘されることも事実です。しかし、日本企業の中には自社でIoT製品の開発をしている企業も少なくなく、すでに無数の製品が国内に流通しています。
世界と比較したIoT開発の遅れの大きな原因の一つとして、IoT人材の不足が挙げられます。将来的に、日本がIoTの分野で国際的に見ても発展していくためには、IoT人材の育成や国民のIoTへの理解が不可欠となっていくことでしょう。