真のIT先進国は北欧?IT先進国と呼ばれる理由を徹底考察
- 2021/8/31
- コラム
北欧は世界に通用する様々なITサービスを生み出しており、世界でトップクラスのIT先進国と言われています。多くの人たちが利用しているあのITサービスも、北欧生まれです。
そこで今回は、北欧生まれのサービスや北欧がIT先進国と呼ばれる理由について詳しく解説していきます。
世界のIT先進国Top10
2020年にThe Networked Readiness Index(NRI)より発表された、IT競争力の国際ランキングTop10を見てみましょう。
1位 スウェーデン
2位 デンマーク
3位 シンガポール
4位 オランダ
5位 スイス
6位 フィンランド
7位 ノルウェー
8位 米国
9位 ドイツ
10位 イギリス
上記のランキングから分かるように、北欧の国々が1位から10位まで多く君臨しています。1位はスウェーデン、2位はデンマークとなっており、この2ヵ国が世界で最も高いIT競争力を持つことが示されています。
ちなみに、日本のIT競争力のランクは15位です。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、韓国などよりも競争力は低く、先進国の中でIT競争力が高いとは言い難い結果となっています。
資料:GLOBAL NOTE 出典:PI
https://www.globalnote.jp/post-1523.html
北欧生まれのサービス
多くの日本人が利用しているITサービスの中で、北欧生まれのサービスは多々あります。IT先進国である北欧が生み出した、代表的なサービスを紹介していきます。
Skype
Skypeは北欧エストニアで生まれたコミュニケーション・サービスです。スマホやパソコンを使って無料で通話できるアプリとして、人気を集めています。
日本でもSkypeは非常に斬新的なアプリとして、瞬く間に人気を集めました。現在、Skypeはビジネスでもプライベートでも欠かせないコミュニケーションツールとして、定着しています。
Spotify
スウェーデンで生まれたSpotifyは楽曲の提供を行うストリーミングサービスです。アクセス可能な楽曲数は4000万と言われており、多くの人たちがSpotifyによって、音楽を気軽に楽しむことができるようになりました。
SpotifyはいくつかのDJ関連のアプリとも連携が可能で、通勤通学の時に音楽を楽しめるのはもちろん、DJとして活躍する人にとっても大変便利なアプリです。
MaaS
MaaSとは、フィンランドで生まれた情報通信技術を使ってマイカー以外の移動をシームレスにつなぐシステム。たとえば、タクシー、バス、電車の経路、予約、支払いなどをアプリで一括管理。MaaSによって人々は移動を少ない負担でできるようになりました。
MaaSアプリが日本に上陸したのは2020年12月です。このアプリは千葉県の柏の葉で初めに導入されました。市内のタクシー、バス、カーシェアなどが目的地に応じて表示され、予約から支払いまでアプリで一括してできるようになりました。
Transfluent
Transfluentは、フィンランドで開発されたSNSを主に対象とした翻訳サービス。
翻訳サービスはこれまでにも多くありましたが、原文とかけ離れた訳になることが大半であり、安心して利用できるサービスはほとんどありませんでした。
Transfluentは「15分で80ヵ国語、人力翻訳による正確さ」をウリにしています。高い品質の翻訳を可能にしている秘訣は、全世界で約50,000人以上の翻訳者を常時キープしているところにあります。
北欧がIT先進国と呼ばれる理由
北欧はIT技術を屈指した新しいサービスを次々に開発し、世界中の人たちの暮らしに影響を与えています。
ここからは、北欧が世界でトップレベルのIT技術力を誇れるようになった理由を見ていきましょう。
電子政府の浸透
国連の経済社会局が2年ごとに発表する「世界電子ランキング」において、デンマークは2018年から2年連続で1位を獲得しています。デンマークでは高齢者も含めて、国民のほとんどが電子政府に馴染んでいます。
1968年に開始されたCPR番号システムによって、デンマークの国民1人1人にCPR番号が付与されました。この番号には生年月日、性別、学歴、職業、病歴などが紐付けられています。国民の情報を必要に応じて一括で知ることができます。
教育の質の高さ
北欧では、義務教育にITを早くから取り入れています。フィンランドにおいて義務教育内でプログラミングが必須化されたのは2016年のこと。1~2年生で論理的思考を学び、3年生になるとプログラミングを本格的に学び始めます。
アメリカや中国ではITに関する素晴らしい技術を持つ人はいるものの、多くの国民がITを使いこなせるまでにはいたっていません。一方、北欧諸国では学校教育などによって国民の大半がITに関する正しい知識を持っています。
参加型社会
北欧諸国は参加型社会なので、国民のほとんどが新しいサービスを積極的に利用しています。高齢者であってもITに興味を示し、利用することを前向きに考える人が大半です。
国民1人1人がITに触れられるのは、人口が少ないことも関係しています。国民の数が少ないからこそ、サービスの周知が短期間で完了し、かつ利用者に手厚いサポートができるのです。
IT社会のモデルとなるサービス
IT先進国である北欧では、IT技術によって、人々の暮らしを豊かにしています。北欧ではどのような社会的なサービスが提供されているのかを確認してみましょう。
手ぶらで電車に乗れる
スウェーデンを始めとする北欧諸国では、多くの人が体内にICチップを埋め込んでいます。そのため、現金、ICカード、スマホなどを一切持たずとも電車やバスに乗ることができます。
そのため、通勤時に定期券を忘れてやむなく現金払いすることや、うっかりしていたために乗車賃が足りずに困ることもありません。
コロナパスの流通
2020年春先から、新型コロナウィルスに対して世界中の国々が独自の対応をしています。そのなかでも、デンマークはコロナ対策が進んでいると注目されています。
デンマークは「コロナ検査の陰性者」と「ワクチン接種済みの者」で社会を通常通り動かそうという方針を立てています。「コロナパス」と呼ばれる電子証明パスはこの方針において重要なツールとなりました。
コロナパスとは「ワクチン接種状況」「コロナ検査の結果」「陽性判定から14~180日以内」を示すアプリです。このパスがないと公共施設や飲食店の利用はできません。
まとめ
世界でトップレベルを誇る北欧のIT分野での競争力や技術力。北欧諸国で生み出された新しいサービスは、日本を含め世界各国で利用されています。
北欧社会では社会の基盤にITがあることは既に主流となっており、高齢者を含めたほとんどの人たちがITを抵抗なく利用できます。先進的な社会が実現できたのも、教育の質の高さや社会保障の手厚さが関係していると言えるでしょう。