日本IoTの市場規模は?国内のIoT活用事例を業界別に紹介
- 2022/1/26
- コラム
私たちは日常生活の中で、IoTという言葉を聞く機会が増えてきました。IoTとは、従来はネットワークに接続されていなかったモノをネットワークに接続し、より高い価値やサービスを生み出すことをいいます。IoTは世界中で急速に普及しており、日本においても様々な場面で導入されるようになりました。
そこで、本記事では日本のIoT市場規模について解説した上で、各業界における活用事例についても説明していきます。注目されているIoTがどのような場面で活用されているのか見ていきましょう。
日本のIoTの市場規模
日本におけるIoT市場規模はここ数年にわたり上昇しており、今後ますます上がることが期待されています。
IT専門調査会社IDC Japan(以下、IDC)で代表取締役社長を務める竹内正人氏は、国内IoT市場におけるユーザー支出額が上昇していると指摘しています。2020年~2025年の年間平均成長率は10.1%と大きく成長すると考えられています。そして、IDCは2025年には10兆1,902億円に達すると見込んでいるのです。
国内において支出の多いIoT市場は、官公庁、公共、及び公益、製造、小売と見做されています。また、社会のインフラにおいてもIoTは注目されており、老朽化対策、交通システムの高度化施策の拡大において今後ますます広がると考えられています。
IDCは日本におけるIoTの成長を期待できる理由を2つ挙げています。第1の理由は、労働者の不足に加えて、AI、及びアナリティクスツール基盤の高度化などによる外部環境の変化に関係するといいます。
第2の理由は、データに対する企業の認識の変化です。IoTデータをはじめとする様々なデータを組み合わせることの重要性が市場で深く認識されるようになってきました。この流れの中で、多くの企業が社内外のデータを複合的に活用できるデジタルソリューションの構築を目指して、IoTの導入を始めようと企てているのです。
生活、家電の活用事例
私たちの多くが普段の生活の中でIoTに触れています。一般家庭にある家電にもIoTが導入された製品が増えてきており、日々の生活を便利にしています。
以下、今注目されているIoT搭載の家電を紹介していきます。
Qrio Lock
ドアの鍵の管理はなにかと大変です。鍵を忘れた経験や紛失した経験のある方も少なくないでしょう。
Qrioが開発したQrio Lockをドアに装着すると、スマホでドアの鍵の開け閉めができるようになります。モノとしての鍵がなければドアの開け閉めをすることはできませんでしたが、スマートロックによってデジタル情報でドアの鍵をコントロールできるようになりました。
一般家庭だけではなく、宿泊施設、部屋の内見においてもスマートロックは導入されています。
参考:Qrio Lock
leafee mag
外出先で窓を閉めたかどうか不安になった経験を持つ人も多いはずです。遠方に外出した場合、窓の戸締りを確認するために戻るわけにもいかず、ソワソワとした気持ちが続いてしまいます。
Stroboが提供するleafee magを窓やドアに取り付ることで、戸締りをスマホで確認できるようになります。ドアや窓の戸締りの管理はもちろん、万が一泥棒が侵入した場合にも情報が通知されます。
参考:leafee mag
マイクロボット・プッシュ
Naranによるマイクロボット・プッシュを自宅に導入すれば、家中のスイッチをスマホ1つで管理できるようになります。
設定は、照明、エアコンなどといった家電のスイッチに両面テープを貼って取り付けるだけでほぼ完了です。ご高齢の方やお子さんがいるご家庭にもおすすめできます。
参考:マイクロボット・プッシュ
製造業の活用事例
製造業においてもIoTは大きく貢献しています。製造業では従業員の負担軽減、コストカットの観点からもIoTは注目されています。
以下、今注目されている製造業で導入されているIoTを紹介していきます。
カンバン方式(トヨタ)
トヨタは製造業の中でも非常に早い時期にIoTを導入しました。トヨタは無駄の削減をIoTによって世界に先駆けて実現したのです。
「ムダ、ムラ、ムリ」をなくし、効率化の実現に向けて採用されたのが「カンバン方式」です。カンバン方式では、部品の詳細が書かれたカード(かんばん)を活用し、必要なモノを必要な時に必要ななだけ製造する生産体制です。
1990年代の初め、トヨタはカンバン方式をIT化したTOPPSを開発しました。カンバン方式のIT化はIoTの走りと見做されています。
参考:トヨタカンバン方式
品質維持、管理(長島鋳物株式会社)
企業の品質維持、及び管理にもIoTは大きく貢献しています。たとえば、自社工場のIoT化実現に成功した企業として、埼玉県の長島鋳物株式会社があります。
長島鋳物株式会社は工場の電気炉にセンサーを設置し、生産設備の温度や重量を取得することにしました。これらのデータを分析して、製品ごとに最適な状態でラインが鋳造稼働する仕組を開発しました。結果として、製品にベストな状態で機械を稼働できるようになり、品質向上に成功しています。
参考:長島鋳物株式会社
農業の活用事例
農業において働き手の不足が重要な課題となっています。IoTを活用することで、日本の農業が抱える問題が解消され、活性化することも期待できます。
以下、今注目されている農業で導入されているIoTを紹介していきます。
スマートアシスト
ヤンマーは農業の分野においてIoTを活用している企業として有名です。農作機メーカーであるヤンマーは、クローズIoTを実践しています。
ヤンマーが提供するスマートアシストでは、農作機械に搭載されたセンサーの情報に基づいて、農業の効率化をねらいます。センサーからの情報には作物の情報、位置情報、稼働状況が含まれます。
参考:スマートアシスト
IoTベジタリア
ベジタリアはスマホで作物の状態を確認可能なサービスの提供を行っています。CO2や土壌の温度などを測定するモニタリングシステムを圃場に設置し、データを解析することにより、作物の生育状態を遠隔で確認できます。
IoTベジタリアによって少ない人員でも農園をまわすことができるようになりました。
参考:IoTベジタリア
自動車の活用事例
自動車にIoTを導入することで、社会問題の改善や事故数の減少にもつながると考えられます。
以下、今注目されている自動車に導入されているIoTを紹介していきます。
ロボネコヤマト
ヤマト運輸はDeNAと共同で、自動運転の実証実験を行なっています。近年、配送業者の負担が増大し、配送員の労働負担はとりたてて大きな問題となっています。
ロボネコヤマトは宅配便の再配達ゼロを目標に開発された製品です。自動運転が顧客の指定する場所に10分単位で配送を行うことが想定されており、神奈川県藤沢市で実用実験が行われています。
参考:ロボネコヤマト
hitoe
hitoeは交通事故を減らすことを目的に、NTTグループとSAPによって共同で開発されました。
hitoeは衣服型のウェアラブルデバイスであり、心拍数、心理的安定度、中枢性疲労度を取得します。これらのデータによって、ドライバーの事故防止をサポートします。
参考:hitoe
医療、ヘルスケアの活用事例
IoTの普及によって、医療やヘルスケアも進化しています。
以下、今注目されている医療、ヘルスケアにおけるIoTを紹介していきます。
G・U・M PLAY
歯磨きのコツを掴むのは難しく、正しい歯磨きは容易なことではありません。
サンスターが提供するG・U・M PLAYを歯ブラシに搭載すれば、最適な磨き方をアドバイスしてくれます。G・U・M PLAYには様々な機能が搭載されており、たとえば加速度センサー、LED、Bluetoothが付いていてます。専用のアプリと連携すれば、磨き方の改善を提案してくれます。
参考:G・U・M PLAY
スマート治療室
日本医療研究開発機構による事業の一環として開発されたスマート治療室は、全ての医療機器の情報を一画面で共有することができます。
スマート治療室では患者の状態、患部の状態の診断、患部の状態の診断などをリアルタイムで一画面で可視化できます。医療機器等のIoT化により、医師やスタッフに情報を素早く提供するだけでなく、安全性の向上や未来型医療に発展することが期待されています。
参考:スマート治療室
まとめ
日本は世界的に見て、IoTにおいて遅れをとっていると指摘されることもあります。しかし、国内のIoT市場は増加しており、かつ今後も成長していくと考えられています。
私たちの生活において、IoTは身近になっています。自宅にIoTが搭載された家電を置く家庭は増えています。また、製造業、農業、自動車業界などに携わる人の中には、IoTによって仕事が効率化できていると感じる人は多くなっていくでしょう。