フリーランスのための請求書の書き方、注意点まとめ

フリーランスにはクライアントワークのみならず、報酬を自身で管理することも求められます。フリーランスの報酬の受け取り方には様々な方法がありますが、どの受け取り方であっても請求書に基付いてきちんと管理する必要があります。

本記事では、フリーランスに請求書が必要な理由を解説した上で、フリーランスの方に向けた請求書の書き方、注意点を説明していきます。本記事の最後には、請求書のテンプレートも紹介しますので参考にしてみてくださいね。

請求書とは

請求書とは、契約した企業、個人に対して仕事によって発生した金額を請求するための書類です。通常、契約した仕事が完了した際、もしくは商品の納品を行った際に請求書を渡します。

請求書のやりとりは法律で義務付けられているわけではありません。しかし、請求書はビジネスにおける慣例であり、スムーズな取り引きを実現する上でとても重要な書類です。

請求書が必要な理由

クライアントから労働の対価を漏れなく受け取るための対策の一つに、請求書の作成が挙げられます。請求書を交わすことで報酬を期日まで支払ってもらいやすくなります。取引後、「いつになったら支払ってもらえるのか?」という不安を抱いたり、「思っていたよりも、支払われた金額が少ない」といった事態を招いたりすることを防ぐことができます。

請求書は確定申告においても重要な書類です。年間所得が48万円を超えるフリーランスには、一年分の所得を2月16日から3月15日までの期間に税務署へ申告する義務があります。この際、請求書は所得を証明するための重要書類になります。

請求書の作成方法

請求書には指定されたフォーマットは基本的にありません。しかし、必要事項が漏れている場合、もしもの際に請求書の効果を発揮できなくなります。

ここでは、請求書に必ず明記しなければならない事項と記載内容について解説していきます。

発行者

発行者はフリーランスの方、本人です。

発行日

発行日には、取引先の締日を記入することが基本です。請求書の作成日ではありませんので、気を付けてください。

支払期日

支払期日を記入してください。馴染みのあるクライアントとの契約であっても、契約ごとに支払期日を記入するようにしてください。

支払期日を明記しておくことで、クライアントの払い忘れを回避できます。また、支払いがなかなか行われない場合には確認をとるタイミングの目安にもなります。

支払期日を定めていないと、「来月まとめて払う」「次回の契約と一緒に払う」といったように、支払いが先延ばしになる事態も招きかねません。

振込先

振込先には、以下について正確に記入しておくようにしてください。

・銀行名
・支店名
・口座種類
・口座名
・口座番号

請求内容

請求内容には以下の事項を記入してください。

・商品名、サービス名
・数量
・金額

税務処理の関係から、取引先から請求内容の記入方法について指定を受けることもあります。指定があった際は、快く従うようにしましょう。

注意点

続いて、請求書作成時の注意点について見ていきましょう。お金に関する問題は、些細な金額であっても大きな揉め事に発展してしまうことも少なくありません。

どちらか一方が独断で決めたり、曖昧な理解で進めたりするようなことはしないでください。また、些細な内容であっても、疑問に思うことがあれば、先方に早い段階で相談しましょう。

消費税

源泉所得税の発生する契約では、請求書には源泉徴収税を差し引いた金額を記入します。源泉徴収税とは、請求者に代わって報酬支払者が納める税金です。報酬支払者は支払額から10.21%(報酬額100万円以上は20.24%)を差し引き、その金額を税務署に納税します。

源泉徴収税について請求書に記入する場合は、報酬にかかる消費税にも注意が必要です。クライアントが支払いを行う報酬の消費税が内税なのか外税なのかで、源泉徴収税の金額は大きく変わります。

・消費税が内税の場合
請求する報酬が内税で表記されている場合、報酬額と消費税額を合わせた額を元にして源泉徴収税を計算します。

報酬額が100,000円(税額切り捨て)のケースを見てみましょう。

報酬100,000円+(100,000円×消費税10%) = 110,000円

110,000円万円×源泉徴収税10.21%=11,231円≒源泉徴収額11,230円

上記において、クライアントに請求する金額は100,000円-11,230円=88,770円になります。

・消費税が外税の場合
請求する金額について報酬額と消費税額で分ける場合、源泉徴収税の計算は報酬額のみになります。このケースでは、源泉徴収の対象は報酬額のみと見做されるからです。例えば、報酬額が10万円の場合、10万円×10.21%=10,210円が源泉徴収額となります。

上記のケースで、クライアントに請求する額金額は、10万円-10,210円+消費税10,000円=99,790円になります。

振込手数料

フリーランスの報酬は口座振り込みになるケースが多いです。振込み時には、数百円程度かかりますので、この金額をどちらが負担するかあらかじめ決めておくようにしてください。

フリーランス側が振込手数料を負担する場合は、振込手数料が差し引かれた報酬が振り込まれます。

フリーランスが一時的に負担を行い、後から請求する場合は、振込手数料額を加えた請求額を請求書に記入するようにしてください。

フリーランスの方向け!請求書のテンプレート

請求書をイチから作成しなければならないフリーランスの方を対象に、請求書のサンプルを紹介します。

ヘッダー部

請求書のヘッダー部における記載内容は以下の通りです。

1. 帳票タイトル
「請求書」とセンターに記載します。分かりやすいよう、大きめに表記することをおすすめします。

2. 宛名
誰に宛てた請求書なのか記載します。法人の場合は「○○御中」と書くことが一般的ですが、担当者の名前を「〇〇様」と表記するケースも多いです。個人の場合は「○○様」と記載してください。

3. 請求者情報
氏名、住所、電話番号などを記載します。

記載内容を確認の上、捺印してください。

4. 請求金額
支払金額の合計を記入します。

5. 請求日
請求書を発行した年月日を記載します。

6. 支払い期限
契約時に合意した支払い期限を明記します。

7. 請求書番号
請求書の管理番号を明記します。請求書番号は発行者が後から整理しやすくするための番号ですので、任意の値になります。

明細部

請求書の明細部における記載内容は以下の通りです。

8. 品目
サービスや商品名を記載します。

9. 数量
納品した商品/サービスの数を記入します。

10. 単価
一品ごとの単価を記載します。

11. 金額
単価の合計(数量×単価)を記載してください。

フッター部

請求書のフッター部における記載内容は以下の通りです。

12. 小計
明細の各金額を積算した小計を税抜きで書きます。

13. 消費税額
消費税の金額を記載します。

14. 合計
小計+消費税額を記載します。

15. 振込先
振込先には、口座名義、振込先金融機関名、支店名、口座番号などを正確に記入します。

まとめ

フリーランスのうち7割に及ぶ方たちが、支払われるべき報酬が支払われなかったという経験をされています。また、報酬が支払われた場合であっても、想定されていた時期よりもかなり後であったり、契約時よりも支払額が少なかったりというケースも珍しくないようです。

報酬が支払われなかった場合、法的手段に訴える手段もありますが、時間も労力も必要でありとても大変なことです。請求書は報酬未払いを回避するコツの一つですので、請求書を契約時に作成しておくようにしましょう。

ビジネスにおいて請求書を交わすことは当然のことですので、クライアントに遠慮したり、申し訳なさを感じたりする必要はありません。請求書は、双方の利益を守る上で重要な書類になります。

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