「コアメンバー=正社員」は時代遅れ?…いま、日本企業が“柔軟な”雇用制度を取り入れるべき理由

柔軟な雇用形態増加の背景

業務の属人化の解消やコストカット、特定時期の労働力確保など、理由はさまざまですが、正社員以外のいわゆる「非正規」と呼ばれる人材を活用する企業は多くなっています。

そして、この非正規雇用の増加は、企業側だけの事情ではなく労働者側の事情も関わっています。

厚生労働省が行った『就業形態の多様化に関する総合実態調査(令和元年度)』によれば、非正規雇用を行う企業側の理由としては、以下の3点が上位に挙がっています。

・正社員の確保ができないため(38.1%)

・業務の繁閑に対応するため(31.7%)

・賃金節約のため(31.1%)

一方、雇用される労働者側は以下の3点を大きな理由として挙げています。

・自分の都合の良い時間に働けるから(36.1%)

・家庭と両立しやすいから(29.2%)

・家計や学費の補助(27.5%)

フルタイムで働く正社員では、自分の都合の良い時間のみ働く訳にはいきません。また、フルタイムかつ責任の重い正社員では、育児や介護といった家庭との両立も難しくなります。

このような労働者側の事情も、正社員の確保が困難な状況を招いていると推測できます。

つまり、非正規雇用という柔軟な雇用形態の増加は、企業側の事情だけでなく労働者のニーズとも合致した結果といえるでしょう。

柔軟な雇用形態とその特徴

正社員以外の非正規と呼ばれる雇用形態は、さまざまな種類が存在します。以下にそれぞれの特徴を紹介します。

  • パート・アルバイト
    正社員と比較して短時間の労働に従事する労働者です。主婦や学生などがこの雇用形態を選択することが多く、定型的作業や簡易な作業を担当します。一般的に期間を定めて雇用されることが多くなっています。
  • 契約社員
    契約社員も期間を定めて雇用される形態です。ただし、時給制が多いパートやアルバイトと異なり、一般的に月給制で雇用される場合が多くなっています。名称が異なる場合もあり、準社員や準職員などとする企業も存在します。有期雇用かつ定型的業務に従事する場合が多いですが、パート等よりも正社員に近い業務を担う存在です。
  • 派遣社員
    派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の指揮命令で働く労働者です。定型的業務のみ行う場合もありますが、正社員と同様の仕事を行うことも多くなっています。また、派遣法の改正により、同じ職場で働けるのは3年までとなっているため、完全に正社員の代替とはできません。
  • フリーランス・副業
    直接の雇用だけでなく、個人事業主などのフリーランスに業務を委託することも検討に値します。多様な働き方のひとつとしてフリーランスが選択されることも多く、また近時は副業を行う会社員も増えています。これらの外部人材は経理などの専門的なスキルを持っている場合も多く、有効に活用すれば質を落とすことなく、コストカットが可能です。

次ページ:柔軟な雇用制度の活用例

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